調査レポートREPORT
- 2026年03月27日
- コラム
【アフリカ日記 vol.13】アフリカ暮らしから見える、中東情勢のリアルな影響
✓ 中東情勢悪化で、「直前の飛行機変更」
✓ アフリカへの影響も大きいが決して過度ではなく、EVシフト、アフリカシフトの可能性などポジティブな要素もあり
皆さん、最近の中東情勢に関して、身近などころだとガソリン価格の行方など気になるトピックかと思います。
アフリカにいると実はそれ以外にも、移動・物流・企業の投資目線にまで影響が広がっているのを実感します。
- 中東情勢悪化で「直前の飛行機変更」 生活で感じた一番分かりやすい影響
最近、アフリカでの駐在員同士のもっぱらの話題は、「日本間のフライトはどうしてる?」です。
私自身、3月上旬に日本出張があり、当初カタール航空ドーハ経由便を予約していましたが、出発約2週間前の中東情勢が悪化したタイミングで急遽フライトを変更しました。ここで活躍するのが、エチオピア航空です。
日本からは“準直行便”として、成田を出発し、機体はそのまま、韓国でお客さんを乗せてエチオピアへ向かい、そこからケニアへつなぐルートが「結局これが一番早くて、確実」と話題です。
また、今回の日本への帰国時、成田空港に到着したタイミングが中東からの退避便第1号とほぼ同時で、到着ロビーでは退避者の方々がテレビ局のインタビューを受けていました。そして印象的だったのが、その退避便もエチオピア航空だった点です。ニュース映像でも機体や動線を通じて、皆さんも知らず知らずのうちに「あ、またエチオピア航空だ」と目にしているはずで、アフリカの存在感が増しているのを感じます。
- 中東情勢悪化の影響はあるが、過度ではない アフリカ経済の受け止め方
ビジネス面でも影響はゼロではありません。中東はアフリカにとって物流と人の流れの要所であり、ドバイ経由で動いてきた部品供給や輸送ルートに不確実性が出ると、納期や手配の考え方を見直す必要が出てきます。輸出でも茶・コーヒー・花卉など時間に敏感な産品が多く、神経を使う場面が増えています。
ただ、現地で強く感じるのは「すぐ混乱する」というより、「想定内のリスクとして織り込む」姿勢です。
例えば、話題のガソリン備蓄については、ケニア政府が公式に「当面の供給は確保されており、2026年4月末まで手当て済み」と説明していて、短期的な欠乏への警戒はあるものの、パニック的な反応は限定的です。ただ、中東情勢混乱が長引けば、当然ながらモビリティセクターなど中心に影響が出てきます。
また電力については、ケニアは再生可能エネルギー比率が高く、発電の約9割が再エネ由来(地熱・水力・風力・太陽光が中心)という構造があり、中東情勢=即電力危機、とはなりにくい土台があります。
- むしろ進む構造転換 中東→アフリカシフトの可能性
こうした中で、むしろ前向きな変化も見えてきます。
中東情勢が不安定になるほど、企業は一極依存を見直し、拠点や機能の分散を考え始めます。その流れの中で、「中東を経由しない」「アフリカ側で完結できる」供給・保守体制へのニーズは、確実に高まりつつあります。
加えて、ケニアではEVシフトが政策レベルで本格化しています。2026年2月、政府は国家eモビリティ政策を正式にローンチし、燃料輸入依存の低減や投資・産業育成を明確に打ち出しました。同政策は、燃料輸入が外貨に与える負担や国際価格変動リスクを抑える観点からもEV普及を進める狙いが示されており、外部ショックに強い体質へ寄せていく方向感が読み取れます。
再エネ中心の電力構造(約9割)と組み合わさることで、EV化は“環境に良い”だけでなく、“地政学リスクに振られにくい”という意味を持ち始めています。
ニュースの中の中東情勢が、いつの間にかアフリカの移動を変えるのみならず、企業の視線を“次の成長先”としてアフリカへ向けさせています。不安は確かにありますが、その裏でアフリカへのニーズが静かに強まっているのを、現地で暮らしていると実感しています。
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