調査レポートREPORT

2026年07月22日
コラム

【アフリカ日記vol.16】 ナイロビの街で見える中国 ― 暮らしに溶け込むプレゼンス

✓ インフラ、食文化、日用品など、ナイロビの日常生活で見える「中国」をご紹介

ナイロビで生活をしていると、よく「ニーハオ!」と声をかけられます。
私自身の印象ですが、ケニアでは東アジア系の人を見ると、中国人だと思われることがとても多いように感じます。
こうした日常の何気ない場面からも、中国の存在の大きさを実感することは少なくありません。実際、ケニアには約5万人の中国人が暮らしていますが、日本人はわずか約700人で、その規模には大きな差があります。
さらに、中国は2000年代以降、インフラ開発や投資を通じてケニア経済への関与を深めており、街中でもその影響力を実感する場面がよくあります。

今回は、ナイロビの日々の生活の中で感じる、中国のプレゼンスについて紹介させていただきます。

1.街を変えた「中国のインフラ」

中国の存在を最も実感するのは、街の景色です。
鉄道、高速道路、そして建設が進むスタジアム…いずれも中国企業が建設に携わった大型プロジェクトであり、ナイロビの都市景観を大きく変えてきました。

①SGR(Standard Gauge Railway)
2017年に開業した標準軌鉄道です。
ケニア最大の港湾都市モンバサと首都ナイロビを結ぶ全長約472kmの路線として開業し、その後ナイバシャ方面まで延伸されました。
モンバサ港から内陸部への物流効率化を目的に整備され、それまで主流だったトラック輸送に代わる大量輸送手段として活用されています。
現在では旅客輸送にも利用されており、人とモノの移動を支える基幹インフラとなっています。

・ナイロビ南東部のSyokimau地区に位置するSGRのNairobi Terminusはジョモ・ケニヤッタ国際空港にも近く、モンバサとナイロビを結ぶ旅客列車「マダラカ・エクスプレス」の発着駅となっています。
・SGRの線路はナイロビ国立公園内を高架橋で横断しており、都市インフラと野生動物が共存しているケニアならではの光景となっています。

②Nairobi Expressway
2022年に開通されたジョモ・ケニヤッタ国際空港からナイロビ西部までを結ぶ約27kmの高架有料道路で、慢性的な渋滞に悩まされるナイロビの移動時間を大幅に短縮しました。
以前は2時間近くかかることもあった区間を30分前後で移動できるようになり、ビジネスだけでなく市民の日常生活にも大きな変化をもたらしています。

③Talanta Sports Stadium(完成後、Raila Odinga International Stadiumに改称予定)
現在建設中の約6万人を収容する国際規格のスタジアムで、2027年にケニア、ウガンダ、タンザニアの3か国共催で開催されるアフリカネイションズカップ(AFCON:アフリカ最大のサッカー国別選手権)の主要会場となる予定です。
完成すれば、国際スポーツ大会だけでなく、コンサートや各種イベントなど、多目的施設としての活用も期待されています。

2.街に根付く「中国文化」

中国人コミュニティの拡大とともに、ナイロビでは中国系スーパーや中華料理店が集まるエリア、いわゆる「中華街」が形成されています。
本格的な四川料理や火鍋、東北料理、点心などを提供する中華料理店も急増し、中国人だけでなくケニア人や外国人も多く訪れています。
実際、他のアジア料理店と比較しても中華料理店の数は圧倒的で、ジャンルや気分に合わせて選べるほど充実しています。
また、中国系スーパーでは野菜や調味料などアジア食材も豊富に取り扱われており、我々日本人にとっても貴重な存在です。

3.身の回りにあふれる「Made in China」

中国の存在は、さらに身近な「モノ」にも表れています。
ナイロビ市内にはChina Squareという中国製品を中心に扱う大型小売店が進出しています。
家電、日用品、文房具、おもちゃなど豊富な商品が手頃な価格で販売されており、多くのケニア人で賑わっています。
スマートフォン市場でも、中国メーカーの存在感は圧倒的で、アフリカ市場で高いシェアを持つTECNO、Infinix、itelをはじめ、Xiaomi、OPPO、Huaweiなども広く普及しています。
スーパーの商品棚を見ても、家庭用品を見ても、スマートフォンを見ても、中国製品は非常に身近な存在となっています。

4.まとめ:「見える中国」という存在

もちろん、ケニアとアジアの関係は中国だけではなく、日本は長年にわたりODAを通じて港湾や地熱発電、水道、保健医療、人材育成などを支え、インドは100年以上にわたって印僑コミュニティを築き、経済界で大きな役割を果たしてきました。
しかし、中国の特徴は、その存在が日常生活の中で「見える」ことにあると思います。
街を歩けば中国企業が手掛ける建設現場が目に入り、食事の際には中華料理が身近な選択肢として並びます。
また、買い物をすれば手頃な価格で購入できる中国製品に助けられる場面も少なくありません。
インフラから街並み、そして日用品に至るまで、中国の存在はナイロビの暮らしの中に自然と溶け込んでいます。

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