Report市場調査レポート

タイ⇒日本のインバウンド事情

公開日:2023年12月12日

 

ポイント

  • 訪日タイ人数、消費額が増加傾向にあり、リピーター層は地方への関心が高まっている。
  • インフルエンサー等現地マーケティングに精通した人によるデジタルでの情報発信が重要。

近年、タイは最低賃金の上昇に伴い所得水準が年々高くなっています。かつては日本との人件費ギャップから生産拠点としてタイに進出する企業が多く見られましたが、現在は消費地としての魅力が高まっており、サービス業の進出も増加傾向にあります。一方で、タイから日本に旅行に訪れる観光客数も過去10年程度を見ると増加傾向にあり、コロナが一服した現在においては円安も後押ししコロナ前の水準に迫る勢いとなっています。そこで今回はタイ⇒日本のインバウンドについての現状とタイ人観光客を呼び込むポイントについてお話しします。

 

訪日タイ人の現状と特徴

① タイ⇒日本のインバウンドの現状

2023年10月時点の国別・地域別訪日外客数(図表1)を見ると、タイは2023年1月~10月の期間で755,700人となり、これは世界で6番目に多く、実に東南アジアでは1位となっています。観光客数は2012年の観光ビザ免除以降、コロナの影響を除いて年々増加傾向にあります(図表2)。2023年上半期の訪日タイ人数は49万7700人(タイ観光・スポーツ省統計)で、訪タイ日本人数32万7041人(日本政府観光局統計)を初めて上回りました。また、タイ人一人当たりの旅行支出額は2019年時点で131,457円となっており、まだシンガポールの173,669円と比べると低い水準ですが、観光客数の増加や所得水準の上昇率から見ても、タイは日本のインバウンド市場において今後重要な存在と言えるでしょう。


出典:日本政府観光局(JNTO)


出典:日本政府観光局(JNTO)

② 近年の特徴

タイ人が訪日旅行に期待することは「食」「買い物」「自然・景勝地観光」が過去から変わらず上位となっています。一方新たなトレンドとして、「Unseen(知られていない絶景)」、「Inaka Japan(地方でのライフスタイル体験)」、「Outdoor Activity(日本ならではのアウトドアアクティビティ)」を求める人も増加してきています。これは特に日本に何度も訪れているリピーター層に近年見られる特徴です。訪日経験のあるタイ人の約7割が再度訪日しており、リピーターとなっています。こうしたリピーターは主要な観光地や都心部だけでなく、地方への旅行にも注目しているようです。

 

訪日タイ人を地方に呼び込むポイント

では、このようなリピーター層を地方へ呼び込むにはどうすればよいのでしょうか?
タイ人が日本の地方の観光地を探す際の障壁の一つとなっているのが、タイ語での観光地情報の少なさです。タイ人へヒアリングしたところ、日本の人気スポット以外でタイ語の観光情報がほとんど見当たらないため、旅行先の選択肢として浮かばないという声がありました。
タイ人は日本人と比較しても、インターネットの平均利用時間が長い傾向にあり、観光地の情報収集にSNS(Facebook、Youtubeなど)やウェブサイトを積極的に利用しています。特にSNSでは有名インフルエンサーが発信した情報をきっかけに観光地の情報を得ており、その後ウェブサイトやGoogle検索を通じて詳細情報を検索する流れが一般的となっています。
まだまだ地方の観光地は現地言語での情報発信が不足していると感じます。また、ただ単に日本で使用しているマーケティング素材を現地言語に翻訳して発信するだけではなく、現地の特徴や感覚を理解したうえで発信することが求められます。情報発信の方法は様々ありますが、例えば、現地のインフルエンサーを活用したマーケティングが挙げられます。その際には、対象層を明確に設定し、その層に合った情報提供を検討する必要があります。

 

まとめ

訪日タイ人リピーターが今後ますます増加することが見込まれる中で、地方などタイ人に知られていない場所に行ってみたいという声も同様に今後高まっていくことでしょう。特に有名観光地や都市と地方を組み合わせた旅行スタイルが一層広まることが予想されます。日本人向けだけではなく外国人旅行者を意識したマーケッティング戦略を立案、実行していくことで大きなビジネスチャンスを掴める可能性もありますので、一度検討してみてもよいのではないでしょうか。

 

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