Report市場調査レポート

製造業の値上げの今

公開日:2023年5月17日

ポイント

  • 企業物価指数が過去最高を更新するも、販売価格に転嫁しきれていない可能性
  • 受注側企業はコスト上昇の半分しか価格転嫁できていない
  • 製造業では今後も値上げが続く見通し

 

企業物価指数が過去最高を更新

日銀が発表した企業物価指数(2020年の平均を100とした指数)は2022年12月に119.9となり過去最高を更新し、幅広い品目で値上げが進んでいます。
一方で消費者物価指数も記録的な物価高となっていますが、企業物価指数の上昇率とは大きな乖離があります。このグラフより、企業が抱える原材料費、人件費、エネルギーコスト上昇分を販売価格に転嫁できていない現状がうかがえます。


(出所:日本銀行企業物価指数、総務省消費者物価指数より当社作成)

 

コスト増に対する価格転嫁率は46.9%

中小企業庁のアンケート調査によると、多少なりとも価格転嫁できている企業が全体の65%、まったく価格転嫁できていない企業が全体の20%を占めています。
受注側中小企業のコスト上昇分に対して、発注側企業がどれだけ価格転嫁に応じたか、の割合を「価格転嫁率」として算出すると、全業種の価格転嫁率平均は46.9%でした。
競合他社との低価格競争、受注先企業からの要請、非常に速いペースでのコスト上昇により、十分に価格転嫁されていない状況です。
業種別にみると、「石油製品、石炭製品製造」「機械製造」「製薬」などが相対的に価格転嫁に応じている業種といえます。新型コロナウィルスの影響による生産体制の縮小、コンテナ不足などを起因としたサプライチェーンの混乱により、供給不足による原材料価格高騰が顕著な業種においては、価格転嫁が受け入れられやすい環境にあります。


(出所:中小企業庁「価格交渉促進月間(2022 年 9 月)フォローアップ調査」より当社作成)

一方で価格以外での差異化がむずかしい「トラック運送」の価格転嫁率は20.6%と低迷しています。また、特定の受注先企業に依存している「放送コンテンツ」「情報サービス・ソフトウェア」は、価格交渉が進まず相対的に転嫁率は低くなっています。


(出所:中小企業庁「価格交渉促進月間(2022 年 9 月)フォローアップ調査」より当社作成)

価格転嫁率をコスト要素別にみると、原材料費は比較的価格転嫁が進んでいる一方、労務費とエネルギーコストは価格転嫁が厳しい状況です。下請け企業としては、価格転嫁はあくまでも原材料価格の値上げ分のみであり、労務費やエネルギーコストを上乗せして交渉できない様子がうかがえます。

 

製造業の値上げは今後も続く

今後の製造業界の見通しとしては、円安の加速により原材料費は今後も高くなることが予想されます。また、エネルギーコストに関しても、ウクライナ危機や温暖化対策など社会・政治情勢の影響により化石燃料価格が高騰し、多くの製造業者では利益の目減りが懸念されます。
製造業における販売価格の見通しでは、中小企業で5%を超える値上げの必要性を示唆しています。

 

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