Report市場調査レポート

タイの新投資促進戦略

公開日:2023年4月11日

 

ポイント

  • 2023年にタイ投資委員会から新たな投資奨励策が発表された。
  • バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、先端科学技術を用いた開発が重点産業となる。
  • タイ投資委員会は重点産業以外でも幅広い産業で外国からの投資を奨励している。

2022年11月、タイ投資委員会(以下、BOI)は2023年から 2027年までの5年間の投資促進戦略を発表し、2023年1月3日から新たな投資奨励策が有効となりました。本記事では、新しい投資促進戦略の概要とターゲット産業について説明します。

 

新投資促進戦略の概要

①BOIとは

BOIは1954年にタイ政府により設立され、海外からの投資促進を目的に、海外からの投資に対して優遇措置を与える権限を持った政府機関です。税制上の優遇措置(法人所得税免除、輸入税免除など)と非税制上の優遇措置(外資100%の株式保有、土地所有権の許可、ビザ・労働許可証の取得優遇など)があり、タイ国内の雇用促進、外貨獲得、高度技術の移転などの条件に該当する企業がBOIの認可を受けることが出来ます。また日本の東京と大阪にも事務所を設置しており、タイへの投資に関する相談などは日本国内でも行うことが可能です。

②新投資促進戦略

2023年~2027年までの新たな投資促進戦略では、「新しい経済につながる投資を促進し、次世代により良い未来を確保する」をスローガンに、7つの柱と3つのドライバーを掲げています(図表1)。これまでBOIは、主に優遇措置などの制度設計に注力していましたが、今後は制度設計のみならず、ビジネスマッチングなどのビジネスに関するサポートも提供していく方針と発表されています。
新たな投資奨励措置として、A1+という新しいグループが設けられました。これにより、法人所得税の免除期間が最大8年から最大13年に延長されました(図表2)。

また、BOIの認可を既に受けている企業に対しても、法人所得税免除が追加で行われることになりました。この措置は、タイにおける製造拠点の維持と拡大を促進することを目的としています。
A1+に該当する産業として、「学術・研究機関と協力し、技術移転を伴う高度技術とイノベーションを使用する上流産業およびターゲット技術の開発事業(バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、先端材料技術)」が挙げられています。具体的に想定される事例として、バイオテクノロジーを用いた食品・医薬品・化学品・農林畜産・機械装置の研究開発、ナノテクノロジーを用いた食品・電子部品・化学品の研究開発などが挙げられます。いずれにしても、タイでの研究開発が必須となります。BOIの担当官によると、今後ソフトウェア開発、電気自動車、およびバイオ・循環型・グリーン(BCG)に関わる開発も、A1+の対象となる可能性があるとの見解も示しています。

出典:BOI情報を基にCCイノベーションにて作成

出典:BOI情報を基にCCイノベーションにて作成

 

まとめ

今回は新たに追加された分類を中心に説明しましたが、BOIはタイ経済の利益につながる産業(機械・車両、電気・電子、金属・素材、化学、デジタル、クリエイティブ産業、高付加価値サービスなど)を幅広く奨励しています。先に述べたように、税制面や非税制面における恩典がありますので、この投資奨励をうまく活用することが、タイにおける事業の採算性を高める一つの要素となると思われます。したがって、タイでの事業展開を検討する際は、自社の事業が当てはまるかどうか確認することをお勧めします。

 

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