Report市場調査レポート

ベトナムにおける日本食品事情

公開日:2023年3月9日

 

ポイント

  • 品質が良く、安全性が高い日本食品のニーズが高く、農林水産物の輸出額は増加している。
  • 日本からベトナムに輸出する際は、規制や条件を確認する必要がある。
  • 現地の商習慣や嗜好を把握し、戦略を立てた販路開拓活動が求められる。

 

ベトナムにおける日本食品

ベトナムの一人当たりGDPは4,000ドルを超える水準まで拡大しており、個人の所得も毎年増加傾向にあります。このような経済成長に伴い、中間層が増え、健康志向の高まりから品質が良く、安全性が高い日本食品を購入するベトナム人が増えています。日本からベトナムへの農林水産物輸出額の推移は、2011 年は196億円でしたが、2022年は724億円と約3倍強にまで拡大しており、国・地域別の輸出額においても5位に位置づけられています。(参考:2022年1-12月農林水産物・食品の輸出額)

 

品目別の輸出規制

日本からベトナムへ食品を輸出することについての規制や条件が定められており、すべての物が輸出できるわけではありません。
例えば青果物を例に挙げると、りんご、なし、みかん、レタスは日本から輸出することが可能ですが、他の青果物は輸出が認められていません。また認められている商品でも植物検疫条件が定められております。JETROホームページにも品目別に規制・条件が掲載されておりますので、輸出を検討する際には事前に確認することが必要です。(JETROホームページを参考に弊社作成)

 

販路拡大を進めるうえでの留意点

  1. 味覚、嗜好上の特徴の理解
    ベトナムは大きく3つの地域にわけることができ、北部はあっさりとし味、中部は辛い味、南部は甘く濃い味を好む特徴があります。元々は魚介を生で食べる習慣はありませんでしたが、都市部の若年層を中心に食の多様化が進み、寿司や刺身に抵抗が無い人が増えています。
  2. 商流・物流
    国土が南北に長いことや、ベトナム戦争の影響で北部と南部で商圏が分かれていることから、ベトナム全土に販売網を持つ地場企業は少なく、南北でパートナーを見つける必要があります。日本からベトナムへの輸送、通関手続きに時間がかかるため余裕を持った輸送スケジュールを立てることが必要です。特に輸送に時間がかかることを考慮し、賞味期限の長い商品が適しているとも言われています。
  3. 商習慣
    ベトナムのお正月(テト)に贈答品を贈る習慣があり、フルーツ、菓子類、飲料等が贈答用として人気が高く、テト前になるとテトギフトを買い求める客で溢れます。
  4. 競合の把握
    大手日系メーカーが現地ニーズにあった商品を現地生産していること、第三国(タイ)からの類似商品の流入、日本より早くベトナムマーケットに進出し安価な韓国食品がベトナム国内で既に流通しています。価格面では日本からの輸入品より競争力があるので、競合との差別化を打ち出すことが求められます。


<高島屋(ホーチミン)の日本食品取扱いコーナー>

 

現地バイヤーの声

ベトナムの現地バイヤーに日本食品の現状をヒアリングしたところ、「日本食品は既に流通しており、日本で人気があるだけでは、日本食品マーケットに参入することは難しい。最近は高級フルーツ、和牛、鮮魚など高級食材の人気が高い。金を好むことから金箔を用いた商品もおもしろいのでは」と話していました。
このような現地ニーズを的確に把握し、類似商品やその市場シェア・価格帯・ターゲット層などを調査し、現地に適した販売戦略を練ることが不可欠だと言えるでしょう。

※本情報は、当社が作成時に信頼できると思われる情報源に基づき作成したものですが、情報の正確性や完全性を保証するものではありません。お取引に関する最終ご判断はお客さまご自身でご判断いただき、必要な場合には顧問会計士や顧問弁護士などにご相談の上でお取扱いいただきますようお願い申し上げます。
本情報についてのご照会やコンサルティングのご相談につきましては、株式会社CCイノベーションまでお願い致します。

Contactお問い合わせ

お気軽にお問い合わせください

ページトップ