Report市場調査レポート

2022年における日中間コンテナ運賃の動向と今後の見通し

公開日:2023年2月9日

 

ポイント

  • 2022年は日中間コンテナ運賃の価格振れ幅が大きく、中国からモノを輸入している日本企業の物流コストは上昇。
  • 特に、3ヶ月以上に及んだ上海ロックダウンにおいては、一時前年比150%強を記録。
  • ゼロコロナ崩壊による感染爆発にて物流機能が低下する恐れがあり、日中間コンテナ運賃の上昇が再び懸念される。

「上海ロックダウン」や「ゼロコロナ崩壊」等、2022年は中国ゼロコロナ政策に大きな変化がありました。その間に中国企業からの値上げ要求があり、実際に調達コストが増加した日本企業が多いのではないでしょうか。その要因の一つとして考えられる物流コストのうち、日中間のコンテナ運賃について、運賃推移データと現地進出企業の声をもとに、2022年の動向と今後の見通しについてお話します。

 

2022年における日中間コンテナ運賃の動向

2022年の特筆すべき事象は、上海ロックダウン時における日中間コンテナ運賃の上昇です(上記表の赤字参照)。コンテナ運賃は、原油価格等も反映するため、本来コロナだけに左右されるものではありませんが、中国においては、コロナに対して極端な政策をとっているため非常に大きく影響します。

中国当局から厳しい行動制限が設けられた上海ロックダウン時にはほぼ全ての企業が業務停止となりましたが、その状況下にも関わらず、多数の日本企業が中国製品の輸入を強く希望したため、現地企業(日系含む)は様々な策を講じて日本向けに製品を輸出していました。しかしながら、物流においては現地側で十分な人的リソースを確保することができなかったために需給バランスが崩れ、トータル物流コストは平常時の約2~3倍(日中間コンテナ運賃だけでも40ftで一時前年比150%強)に膨れ上がりました。尚、夏場に前年比で大幅に下がっているのは、2020年同月にコロナ拡大懸念で一時的に値上がりしていたことが主な要因と思われます。

 

今後の見通し

2022年12月初旬にゼロコロナが崩壊してから2023年1月末までにおいて、中国の全人口約14億人の64%にあたる約9億人がコロナに感染しており、今なお感染爆発が続いています。街にも人気がなく、業種問わず休業している企業も目立ちます(郵便局ですら2週間の休業をしていました)。また、先日何社かの現地進出企業(製造業)に感染状況についてインタビューをしましたが、常時70%~80%以上の社員が出社できておらず、製造ラインに影響が出ている企業もありました。

したがって、物流業界においても従業員がまともに出社できておらず、人手不足により機能が低下していると推測できます。ドライバー不足によるドレージ・集配トラック手配遅延や税関オペレーション対応が滞れば、日中間コンテナ運賃の上昇に繋がることは大いに考えられます。

ただ一方で、ゼロコロナ崩壊の状況下においては、感染していても業務継続は可能であるため、物流機能は徐々に回復する可能性もあります。中国からモノを輸入している日本企業は、今後も物流コストの動向に注視しながら、安易な値上げ要求には応じない等の対策をしていく必要があるでしょう。

 

まとめ

大胆且つ極端な政策を突然開始したり、徹底して続けてきた政策であってもわずか一日で完全撤廃したりと、日本では考えにくいことが中国ではよく起こります。そのため、今回お話してきたような上海ロックダウン時における日中間コンテナ運賃の大幅上昇等を、多くの日本企業は想像できなかったのではないでしょうか。コロナがきっかけで中国ビジネスの難しさを感じ、「脱中国」に舵を切りつつある日本企業が多いと想像します。

しかしながら、日本企業にとって中国のサプライチェーンは現状非常に重要ですし、世界一の市場を持つ大変魅力のある国でもあります。そのような中国の厳しさと可能性の両方をご理解いただき、現地サポートも活用しながら中国ビジネスのリスク軽減と業容拡大を並行して検討していくことが大切と言えるでしょう。

 

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