Report市場調査レポート

建設業界の動向と原価管理について

公開日:2022年9月28日

ポイント

  • 業界全体としては、コロナ禍による建設投資額の減少から回復しつつある。
  • 建設資材、労務費など建設費が上昇しており、今後原価管理の必要性が高まっていく。

 

建設業界の動向

建設業界全体としては、2015年度以降景気回復による民間建築需要の増加、東京オリンピック特需などを背景に建設投資額は増加してきました。しかし、2020年度はコロナ禍により、建設投資額が減少しました。2021年度については回復し建設投資額は約63兆円となっています。

出所:国土交通省 建設見通し

 

建築資材、労働単価の上昇

建設資材物価の上昇

2020年頃から主要な建設資材の価格が上昇し始めており、中でもグラフの通り、木材は2020年6月から2022年6月までの間で約76%価格が上昇しています。これはコロナ禍による住宅需要の高まり、世界的なコンテナ不足や製材工場の稼働率低下など複数の要因によって引き起こされており、今後もロシアによるウクライナ侵攻でロシアからの木材輸出が一部停止されていることから価格上昇はしばらくの間続くと見られています。

出典:日本銀行 企業物価指数 (2020年6月=100として作成)

労務単価の上昇

建設資材だけではなく、労務単価も上昇しています。令和4年3月から適用する公共工事設計労務単価について(国交省)によると、労務単価は10年連続で上昇しており、全国全業種平均値で2012年の13,072円から2022年の21,084円まで上昇しています。2022年度の労務単価についても全国全業種平均で2.5%引き上げられることとなっています。(下図参照)

このように、建設資材・労務単価など建設費が軒並み上昇している中で、利益をしっかり確保していくためには、より一層原価管理の必要性が高まっているといえます。

 

建設業の原価管理

製造業の原価を「製造原価」と呼ぶのに対し、建設業では原価のことを「工事原価」といい、会計処理も「建設業会計」という特殊な会計処理を行います。工事原価は一般的に原価計算で扱う「材料費」「労務費」「経費」に加え、「外注費」が加わりより複雑化しています。また工事原価と一般管理費の区別も複雑であり、例えば現場管理の担当者の費用は工事原価に含まれますが、営業担当者が動いたときにかかる費用は一般管理費に含まれるなど細かな情報管理も必要となっています。
このように建設業の原価計算を正確に行うには詳細な計算が必要であり、担当者の負担も大きくなることから、より効率的に原価管理を行うために現場のDX、バックオフィス業務の効率化なども合わせて検討していく必要があります。

 

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