Report市場調査レポート

シンガポールの最新状況から考えるグローバル人事戦略とは

公開日:2022年9月12日

ポイント

  • 2023年9月からシンガポール就労ビザ取得のための新ポイント制度「COMPASS」が開始。
  • 今後、海外拠点をもつ企業には、組織内の構造改革がますます求められる。
  • これまで以上に現地化に向けた組織づくりやローカルスタッフ含めた育成体系の整備が必要。

シンガポール人材開発省(MOM)は、2023年9月より就労ビザ取得のための新ポイント制度を導入することにしています。外国人就労ビザ厳格化の流れが継続しているシンガポールですが、日系企業に求められることは従業員の構成を変更することや今まで以上に現地化を進めることにあります。シンガポールのみならず海外に進出している企業は、今後の潮流を見据え、グローバルな組織・人事戦略について整備をしておく必要があります。

就労ビザ取得のため新制度「COMPASS」

今般、MOMが発表した就労ビザ取得のための新制度は「COMPASS」と呼ばれるものです。これは、Complementarity Assessment Framework (相補的な評価を行う枠組み)の略語で、給与水準やスキルといった個人属性項目と、国籍の多様性やローカル人材へのサポート等の企業属性項目で構成されています。
政府は、これまでの就労ビザ(EP)申請は透明性が課題であり、全ての申請に対して平等で透明な審査をするために明確な基準を設けることになったとしています。
また、タン人材開発相は、スキルを持った外国人労働者は引き続き歓迎しつつも、国籍の多様性を重んじる職場環境づくりにより、今後さらなるローカル人材の育成や雇用創出に期待していると述べています。

6つの評価基準

海外拠点の組織・人事戦略の必要性

日系企業の現地法人では、駐在員中心で経営を担い、実務をローカルスタッフに任せていくという「実務現地化」というステージの会社が多く存在します。クライアントが日系企業中心であれば問題はないのですが、クライアントをローカル企業やグローバル企業に拡大していこうとなると、駐在員だけではなかなかその市場に入り込めないケースがあるのも事実です。現地のパートナー企業と合弁で事業を推進するといった取り組みを行っている企業もあると思いますが、よりローカル市場に浸透し、グローバル市場に食い込んでいくことを考えていく際には、やはりローカル市場やグローバル市場に精通しているコアとなる非日本人人材を、自社の現地法人の経営にどう巻き込んでいくか、どう育成していくかが大きなテーマとなります。

組織・人事戦略が海外拠点にはない

日本本社であれば人事部門が人事機能を担い、採用、人材育成、人事評価、賃金、労務などすべてを企画・運用することが可能です。一方で、海外拠点の場合、従業員数が少なく、数人もしくは1人で人事機能のすべてを担っていることがあります。
当社はこれまで多くの組織・人事面の課題解決をしてきましたが、国内でも組織・人事をしっかりと整備ができている企業が少ないと感じています。つまり、海外拠点であれば尚更であることはおわかりいただけると思います。
また、現地化を進める上で、ローカル人材の育成は不可欠でありながら、日本本社が自ら率先して、海外拠点の人材育成をすることは難しいのも実情です。目の前の国内人事の仕事が多くある中、海外拠点の人材育成を放置しても本社側が痛みを感じることが少ないからです。

海外ビジネスの課題

出所:JETRO2018海外ビジネス調査

海外事業の拡大に向けて

海外に拠点を設立したものの、進出国の法規制、商習慣、社会習慣等について、本社管理部門の知見や情報が少なく、日本を基準とした管理ルールが、現地事業推進の妨げになっているケースがよくあります。特にシンガポールでは、人材の流動性が高く、欧米企業に比べて給与の劣る日系企業は苦戦している状況にあり、給与以外の魅力で定着させる必要があります。
このように海外事業の拡大に向けては、各国の人事に関する法制度の潮流を確認しつつ、表に記載のような問題点を解決し、組織・人事体制を整備することや、現地人材全体の底上げ(人材育成)を図ることが今後の現地化や事業発展に必要になっています。

CCイノベーションのコンサルティング

CCイノベーションでは、現状分析からグローバル組織・人事戦略策定、そのための教育など現地法人や海外拠点のそれぞれのステージにおける課題を抽出し、解決を図っています。
また、2022年7月に株式会社CCイノベーションはシンガポールに現地法人(CC Innovation Singapore Pte. Ltd.)を設立しました。株式会社 CC イノベーションと連携し、国内外一体のサービス体制を構築します。シンガポール現地法人のお客さま向けのみならず、新たに海外進出・展開をご検討される国内のお客さま向けにも広くコンサルティングサービスをお届けしますので、海外に関連するビジネスをご検討でしたらぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

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