Report市場調査レポート

タイの太陽光発電事情

公開日:2021年12月10日

ポイント

  • タイの太陽光発電市場は今後も拡大が見込まれる
  • 投資恩典を利用することにより、導入企業の投資メリットが大きい
  • 太陽光発電スキームの多様化により設備事業者のビジネス機会が拡大する可能性有り

はじめに

日本では脱炭素の機運が急速に高まっており、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーと原子力で全体の発電の約6割を賄うことで、二酸化炭素排出の削減につなげる狙いです。タイも同様にその機運は高まっており、コロナ禍においても、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー市場は年々成長しています(図1)。
そこで今回はタイの太陽光発電事情とビジネス機会についてご報告したいと思います。

 

投資環境

まずタイでの太陽光発電市場の現状についてお伝えします。

①市場の成長性と太陽光発電の潜在能力の高さ
タイではこれまで天然ガスを中心とした電源構成でしたが、国内の天然ガス資源の枯渇を背景に、政府は再生可能エネルギーの割合を増やす計画です。政府が2015年に制定したエネルギー計画では、太陽光発電容量を2014年の1,298MWから2036年には6,000MWにする計画であり、市場規模が拡大することが見込まれます(図2)。

現地の太陽光設備事業者へのヒアリングによると、後述する投資恩典の利用による投資利回りの高さから、コロナ禍においても太陽光発電の契約件数は好調であり、今後もまだまだ伸びていく見通しとなっています。また、太陽光発電量に影響する日射量については、タイ全土の平均日射量は1日あたり18.2MJ/㎡であり、1日の平均日射量が16MJ/㎡を下回る土地は全国土のわずか0.5%しかありません。日本の平均日射量の約13MJ/㎡と比べても高い日射量を誇っています。

②豊富な投資恩典
BOI(タイ投資委員会)は、再生可能エネルギーに関する投資促進のため、様々な投資恩典を提供しています。具体的には、最長8年間の法人税免除、太陽光発電事業に関わる機械設備・原材料の輸入関税免除、外資100%企業による土地の取得などがあります。また、政府による太陽光発電事業ファンドの提供など、資金面でのサポートも充実しており、太陽光発電工事業者や太陽光設備を自社で導入検討する企業にとっても導入コスト削減によるメリットを享受できます。

ビジネス機会

ここでは、タイで想定される太陽光発電のビジネス機会について考察します。

①参入可能分野
タイの送電と配電は国営企業による独占状態であり、現状で民間事業者が参入可能な分野は発電事業に限られますが、発電事業においては、①事業主体(自社の工場屋根に設置)、②コンサルティング、③EPC(設計・調達・建設、)④O&M(保守・点検)、などのビジネスを行うことが可能であり、外資企業の進出も多く見られます。

②プロジェクトスキームの多様化
日本と同様にタイにおいてもFIT(固定価格買取制度)の限界がきており、将来の太陽光発電事業はFITに依存しないスキームの需要が想定されます。政府としても、自社利用のためのオフサイト発電(太陽光発電設備と利用者が離れた場所にある場合)や住宅用以外のネットメータリング制度(電力が流れる方向を測定する仕組み)、民間電力取引の問題に取り組むため太陽光発電規制の改定を予定しているとの報道もあります。今後の太陽光発電スキームの多様化により、高い技術とノウハウを持つ日本企業にもマーケットインできる可能性は広がるかもしれません。

おわりに

株式会社CCイノベーションでは、タイの太陽光発電事業に関する市場調査、プロジェクトマネジメント、現地パートナー企業の選定など幅広いご支援が可能です。
2021年10月に株式会社CCイノベーションはタイに現地法人(Thai CC Innovation Co., Ltd.)を設立しました。株式会社 CC イノベーションと連携し、国内外一体のサービス体制を構築します。タイ現地法人のお客さま向けのみならず、新たに海外進出・展開をご検討される国内のお客さま向けにも広くコンサルティングサービスをお届けしますので、タイに関連するビジネスをご検討でしたらぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

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