調査レポートREPORT
- 2021年11月10日
- 海外レポート
ベトナムのキャッシュレス事情
公開日:2021年11月10日
ポイント
- 近年、ベトナムでもキャッシュレスが浸透している。
- 特にスマホ決済が増えているが、クレジットカード・デビットカードも徐々に増え始めている。
はじめに
日本ではあまり馴染みがありませんが、ベトナムには「女性の日」が存在します。世界的には3月8日が国際女性デーとされていますが、ベトナムにおいては、1930年10年20 日に女性の地位向上を目的として婦人組合が設立されたことから、毎年10月20日が「女性の日」とされています。当日は、家族や会社の女性に日頃の感謝の気持ちを伝えるために花やプレゼントを渡す習慣があり、私も出社前に花屋に立ち寄りましたが、普段は99,000ドン(約500円)の花がその日だけ約3倍の300,000ドン(約1,500円)に値上がりしていました。日本人としては少々露骨に感じる反面、需要と供給をしっかり捉えた商売していると感心させられました。また、同店が写真のような佇まいでありながら現金のほかクレジットカードやスマホ決済等にも対応している点にも驚きました。これまでベトナムはキャッシュレス後進国と言われていましたが、政府の取り組みもあり、近年は徐々に広がりを見せ、ローカルショップでもキャッシュレスが浸透し始めました。そこで今回はベトナムのキャッシュレス事情についてご報告したいと思います。
スタートアップの動向
広がるキャッシュレス
ベトナムの人口全体のうち銀行口座を開設している人の割合は30.8%(2017年世界銀行調査)とかなり低く、他の東南アジア諸国に比べても現金利用率が高い国でした。ベトナム政府はこの状況を打破すべく、2016年以降キャッシュレス化を推進してきました。毎年6月16日を「キャッシュレス決済」の日として制定し、「現金決済割合10%以下」、「POS/カードリーダーの設置、利用増加(年間2億取引)」、「銀行口座保有率70%以上」などの目標を掲げています。どれもハードルが高くほとんどが未達となっていますが、国全体の機運向上には寄与し、キャッシュレスが徐々に浸透してきました。また、最近ではコロナ禍で厳しい行動規制によって、買い物や食事がオンラインやデリバリーに切り替わったことでキャッシュレス化が加速しました。
スマホ決済
キャッシュレスの決済方法のなかでもベトナムで特に増えているのが、スマホ決済です。口座保有率自体が低いベトナムですが、携帯電話については世帯保有率100%と言われており、「銀行口座はなくても、携帯電話は持っている」という状態にあります。また若い世代が多く、スマートフォンへの抵抗感がないことも、スマホ決済が増える要因になっています。
クレジットカード・デビットカード
モバイル決済が増えているなかで、銀行系のクレジットカードやデビットカードも見直されています。銀行口座の保有率自体が低いことに加えて、クレジットカードの審査が厳しいこともあり、これまであまり普及してきませんでした。普及率が低いので、利用場所も少ない。ゆえに利便性が悪くさらに利用者が増えないという負の連鎖に陥っていましが、近年はPOS/カードリーダーの設置が増えたことで、クレジットカードの利便性が向上し、利用者も増え始めています。また最近ではATMカードにデビット機能(代金決済時に預金口座から即時引き落とし)がセットされており、これまでクレジットカードを持てなかった層も取り込んでいます。インターネットバンキングも充実しており、スマホ内で資金移動・送金・公共料金支払い・ローン申込を行うことができ、ベトナムにおいてもキャッシュレスやデジタル化が始まっています。
おわりに
現状、製造業での進出が大半を占めますが、今後は小売り、飲食、EC関連といったBtoCビジネスの進出も増えてくることが予想されます。そして今後のBtoCビジネスにおいてはキャッシュレス対応が必要不可欠となります。北國フィナンシャルグループでは、2013年にベトナム投資開発銀行(BIDV)と業務提携を締結し、2015年から出向者を派遣しています。
弊社ではベトナム進出時のご支援や現地法人さま向けのコンサルティングのほか、BIDVや北國銀行シンガポール支店と連携した各種金融サービスもご提供しております。また法人取引のみならず個人取引においてもご支援しておりますので、金融まわりについてもお気軽にご相談ください。
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