Inspection Tour Report

海外視察レポート

サンフランシスコとロサンゼルスで世界の最先端を学ぶ米国7日間
20250907
20250913
訪問先 サンフランシスコ、ロサンゼルス(米国)

「サンフランシスコとロサンゼルスで世界の最先端を学ぶ米国7日間」と題し、テクノロジーとスタートアップが集積するサンフランシスコ、文化と多様性を活かした都市発展を遂げるロサンゼルスを視察しました。

サンフランシスコはアメリカ西海岸に位置する都市で、金融・観光・IT産業が盛んな国際都市です。特に近郊のシリコンバレーは世界有数のテクノロジー集積地として知られ、多くの革新的企業やスタートアップが集まっています。坂の多い地形やケーブルカー、ゴールデンゲートブリッジなどの観光資源に加え、多文化が共存するダイバーシティに富んだ都市として発展してきました。

ロサンゼルスはアメリカ合衆国第二の都市で、映画・音楽をはじめとするエンターテインメント産業の中心地として知られています。ハリウッドをはじめとした文化的発信力に加え、全米有数の港湾都市として国際貿易や物流の拠点でもあります。近年ではテクノロジーやクリエイティブ産業の発展も著しく、多様な人材と産業が集積するダイナミックな都市です。

ソーファイスタジアム視察

2020年9月に総工費約5,000億円(当時)で完成した最大約10万人まで収容可能の最新鋭のスタジアムです。NFL2チームの本拠地としても知られます。2026年FIFAワールドカップの会場、2028年夏季ロサンゼルスオリンピックの開会式と閉会式にも使用される予定です。
最新テクノロジーを駆使した巨大な円環型スクリーンや観客体験を重視した設計は、スポーツを核にした都市開発のモデルといえます。また、周辺には商業施設やエンターテインメント空間が整備され、地域経済への波及効果も大きい点が特徴です。



Waymo乗車体験

WaymoはGoogle系企業が展開する自動運転タクシーサービスで、ロサンゼルスやサンフランシスコなどで実運行されています。今回の乗車体験では、無人で滑らかに走行する様子を体感しました。現地の方によれば、「Waymoの実証実験では、物的損害クレームは人間による運転に比べ約88%、人的傷害クレームは約92%減少しており、事故削減効果が明らかになっている」との説明を伺いました。
自動運転の普及は、所有から共有へのシフトを加速させ、移動手段の在り方を根本から変えることで、社会・経済構造に大きな転換をもたらす可能性があります。本視察は、企業がこうした環境変化をどのように受け止め、新たな価値創造に結び付けていくべきかを再考する契機となりました。




ナパワイナリー視察

ナパバレーは世界有数のワイン産地として知られ、高品質なワインを核に観光・食・文化が結びついた地域経済モデルを築いています。
今回初めに訪れた「ヴァサトゥーイワイナリー」では、環境に配慮したブドウ栽培や持続可能性を重視した取り組みを学ぶことができ、地域ブランドの形成には自然資源と理念の一貫性が重要であると実感しました。
また、「ケンゾーエステート」では、日本人オーナーが国際的に通用するブランドを創り上げた事例に触れ、グローバル市場における品質管理やブランディングの徹底が成功の鍵であることを確認しました。
両ワイナリーの事例は、地域資源をいかに磨き上げ、体験価値と結び付けて経済的成果につなげるかを示す好例であり、今後の事業戦略や新規事業開発を考えるうえで多くの示唆を得る機会となりました。



シリコンバレー視察

 

①プラグアンドプレイ(Plug and Play)
シリコンバレー本社を含め世界65拠点を展開し、東京・大阪にも拠点を持つ世界最大級のアクセラレーターです。
事業は投資、育成、ビジネス開発支援の三本柱で、年間約200件(1件10~50万ドル)の投資を実施し、人物重視の姿勢が印象的でした。挑戦経験や連続起業の実績が信頼につながり、失敗も学びとして評価される点は、日本の起業文化との違いを示しています。
育成では自動車・半導体・ディープテックなど25分野で年間約400社を支援し、卒業時には3,500~4,000人規模のピッチイベントが開催されます。さらに500社のパートナー企業が人材育成や知財獲得を目的に参画し、協業やM&Aの機会を創出しています。
これまでに35社のユニコーンを輩出した実績は、このネットワークの力を物語っています。本視察は、イノベーションを自社内だけで完結させるのではなく、外部エコシステムと結びつけて加速させることの重要性を改めて考えさせられる機会となりました。




②インオービット ロボット スペース(InOrbit Robot Space)
シリコンバレーに拠点を置くロボティクス分野の共創拠点であり、スタートアップや研究者が自律走行ロボットの開発・実証を行う場として整備されています。今回の訪問では、製造・物流・サービスなど幅広い領域で活用が進むロボットの最新動向を体感し、ソフトウェアによる遠隔監視や運用最適化といった技術基盤を学びました。
ロボティクスが労働力不足の解消や新たな付加価値創出につながることを実感し、外部環境変化への対応や自社事業への応用を考える示唆を得る機会となりました。



③グーグル ビジター エクスペリエンス(Google Visitor Experience)
2023年10月に完成した、シリコンバレーのGoogle本社キャンパスに併設された来訪者向け施設です。敷地内を自由に移動できるGoogleカラーの自転車が象徴的であり、利便性と遊び心を兼ね備えたブランディングの一環として印象に残りました。
さらに巨大風車の展示は “a symbol of the child-like wonder and creativity” と説明され、子供のような好奇心と創造性を尊重する企業文化を象徴しています。これは単なるデザインや観光要素にとどまらず、来訪者にGoogleの価値観を体感させる仕掛けであり、理念を空間や体験に落とし込むことの重要性を示しています。
本視察は、効率性や機能性だけでなく、遊び心や感性を経営にどう組み込むかを考える契機となりました。



まとめ

本視察研修では、サンフランシスコとロサンゼルスを訪れ、自動運転やスタートアップ支援、ブランド体験のデザインなど最先端の取り組みに触れました。そこに共通して見られたのは、外部環境を積極的に取り込み、新たな価値を創出し続ける姿勢です。Waymoの実証実験による事故削減の成果やPlug and Playの広大なネットワーク、Googleの文化を体験として示す工夫は、いずれも挑戦と協業を前提にしています。
日本企業にとっても、内向きの発想にとどまらず、外部との結び付きを戦略に組み込むことが、持続的成長と競争力強化の鍵となります。その重要性を改めて認識する研修となりました。



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